
企画展「奏でる光と色彩」
今回の展示では、クロード・モネの作風にインスパイアされた新進作家たちの作品を厳選。柔らかな筆致と光の戯れが織りなす風景、そして瞬間の輝きを捉えた色彩のハーモニーは、同州美術館ならではの視点でお届けします。
モネが追求した「光の瞬間」をテーマに、現代の作家たちが描く穏やかな水面のきらめき、庭園の移ろいゆく季節、そして人物に降り注ぐ優しい陽光…。一見すると共通するようなタッチでありながら、それぞれが独自の解釈で「印象」を表現しています。
作品の前に立つと、まるで時間が緩やかに流れ出すような、穏やかな空気に包まれるでしょう。今回は特に「光の音楽(Lumière Musicale)」というコンセプトのもと、モネの世界観を現代に継承する珠玉の作品をギャラリー1にて展示いたします。
ぜひ実際に足を運び、きらめく色彩と静かな感動をご体感ください。




印象派に魅せられた現代の色彩詩人たちについて
今回の展示に参加している作家たちは、印象派の巨匠の技法と哲学を深く研究し、独自の解釈で光と色彩の調和を追求しています。
ある作家は、「自然の光は一瞬ごとに変化する音楽のようだ」と語り、キャンバスに移ろう季節のニュアンスを繊細に描き出します。特に朝靄の中の睡蓮や夕暮れ時の積みわらを題材にした作品は、モネが愛した「瞬間の輝き」を現代的な感性で再解釈しています。制作時には必ず野外にイーゼルを立て、実際の光の変化を追いながら筆を進めるというこだわりよう。
また別の作家は、デジタル時代における「新たな印象派」を提唱し、伝統的な油彩の技法にデジタルアートの要素を融合。画面の中に点描のように散りばめられた色の粒子が、鑑賞者の距離感によって異なる印象を見せる実験的な作品を発表しています。「モネが生きた時代にはなかったツールで、彼が追求した『光の本質』に迫りたい」という思いから生まれた独自のスタイルです。
さらに、人物画を専門とする作家は、窓辺でくつろぐ人物を通して「室内に差し込む光のドラマ」を表現。モデルの肌に揺れる木漏れ日や、テーブルに反射する陽光のきらめきまでを、薄塗りの繊細な筆致で描き込みます。この作家は制作時に必ずモネが愛聴したという19世紀のクラシック音楽を流し、当時の空気感を再現しながら描いているのだとか。
自然と光の詩人たちが紡ぐ、新時代の「印象」の世界をどうぞお楽しみください。


Exhibition
特別公開:新井蒼「時のオブジェ」ギャラリー5
同州美術館では、2年ごとに新進作家へ「未来に残すべき代表作」の制作を委嘱する特別プロジェクトを実施しています。2024年3月に発表予定だった新井蒼氏の制作途中作品「時のオブジェ」を、関係者のご協力により特別公開いたします。本作は他の「未来コレクション」シリーズとともに、2027年3月までギャラリー5にて常設展示されます。
Overview
開催期間
2025年5月28日 – 2025年11月10日
開館時間
午前10時〜午後5時30分
(6月30日は午後4時30分閉館)
入館受付は閉館時間の30分前までとなります。
休館日の情報はカレンダーをご確認ください。
場所
美術館 会場ギャラリー1
同州美術館 常設展
総勢13名の新進作家が3年の歳月をかけ、
すべて新作として描き下ろした写実絵画の競演。
各作家が「未来への遺産」と断言する、
100号を超える大作が一堂に会します。
「未来への遺産」プロジェクトの始まり
この特別企画は、2005年に同州美術館の初代館長・林田茂が構想したものです。
林田は美術館開設にあたり、「この地に永遠に残る芸術的遺産を創りたい」と考えました。そこで選りすぐりの作家たちに、3年の歳月をかけて「後世に伝えるべき傑作」となる大作(100号以上)を制作するよう委嘱。
作家各自が真に表現したいテーマで、
その技術と情熱の全てを注ぎ込んだ――
そうして生まれた作品群が、今日の同州美術館の礎となりました。




林田茂
林田茂は、現代アーティストとして、緻密な写実的スタイルと深い人文主義的精神で知られる。その作品は古典絵画の厳格な技法と現代アートの哲学的思考を融合させており、画風はルネサンスの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチと比較されることが多い。正確な解剖学的構造、柔らかな光と影の表現、人物の表情の微妙な描写は、古典美学への深い理解を示している。
ダ・ヴィンチの科学的探求とは異なり、リン・テンマオは個人の情感と東洋的な趣きを重視する。彼の肖像画は静謐な色調と霧のような雰囲気で、時空を超えた質感を生み出し、テーマ性のある作品では象徴的な要素を通じて記憶、孤独、人間の普遍性を探求している。代表作《褪せた原稿》《霧の中のまなざし》などは、「虚実共存」の追求を体現し、ルネサンスの理性的伝統を継承しながら、現代的な詩的メタファーを画面に与えている。
Overview
開催期間
2023年5月28日 – 今まで
開館時間
午前10時〜午後5時30分
(6月30日は午後4時30分閉館)
入館受付は閉館時間の30分前までとなります。
休館日の情報はカレンダーをご確認ください。
場所
美術館 会場ギャラリー2